女王陛下 フランSide

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「あら、ローダン伯爵はお元気かしら。母がよく薬を届けていました」  私はまるで知り合いにあったようにあったかのように嬉しく思った。ローダン伯爵と母は良い友人関係だったように思う。 「はい、ロベールベルク公爵夫人の薬のおかげで元気にしております。私も感謝申し上げます」  濡れがらすのように黒づくめのウォルターは笑みを浮かべて私に話した。彼が笑うと何か妙だ。迫力があった。 「それは良かったわ。母は……」  私は不意に鼻の奥がツンと痛み、涙が込み上げてきたので慌てて言葉を飲み込んだ。声が震えてはならない。これから女王陛下にお会いするのだ。涙は忘れ去るのだ。  ―しっかりしなさい、フラン!  私は心の中で自分を厳しく叱責した。上に立つ身分の者は感情を露わにしてはならない。女王陛下の前では尚更そうだ。気をしっかりと保つ必要がある。  私は黙ってウォルターに従って歩いた。フォーチェスター城内部奥深くにどんどんウォルターは進んでいく。女王の住まいは非常に豪華だった。だが、私はその調度のどれもほとんど目に入らなかった。初めてお会いする陛下のことで頭がいっぱいだったのだ。  
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