誘惑 リサSide ※ プロローグ

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誘惑 リサSide ※ プロローグ

 ロベールベルク公爵邸のバルコニーから侵入したフランの婚約者ミカエルに、私は唇を奪われていた。私は16歳のフランのフリをしている18歳のリサだ。  ミカエルは信じがたいほど魅惑的な瞳と唇で、私を誘惑した。頭がよくまわらない。優しく抱き寄せられてミカエルを見上げると、ミカエルの視線が私の豊かな谷間に落ちたかと思うと、そのまま唇に口づけをされたのだ。  初めての経験に体全体が溶けてしまいそうな熱を感じて、私は茫然とした。  こんなはずではなかった。  ミカエルは私を抱きしめる手をゆっくりと動かして、私を天国に誘うようなうっとりした心地にさせ始めた。  あぁっんっ……あっんっ  先ほど公爵邸の侍女に丁寧に洗ってもらったブロンドの髪の毛を優しく撫でられたと思った瞬間にするりとネグリジェを脱がされた。そのままぷるんとあらわになった豊かな胸の頂にミカエルの唇が降りてきて、舌で転がされた。  私は身をくねらせて甘く悶えた。胸が形を変えて揉まれ舌で転がされ、夢中で私の体を吸い尽くすミカエルが与える快感に、私は飲み込まれて行った。  そのまま抱き上げられて公爵令嬢の大きなベッドにふわりと下ろされ、ミカエルが素早く服を抜き捨てるのを、信じられない思いで見つめた。初めて興奮した男性の裸を見た。鍛え上げられた胸板に思わず目を奪われてしまい、私はこれから起こることを予感して身悶えした。  あっんんっ……っんっ    ミカエルの指が私の体の大切な泉に触れて、私はのけぞって喘いだ。私が恥ずかしがって真っ赤になって逃げるのを許してくれなかった。 「最高だよ、フラン。こんなに成熟した体をしていたなんて、知らなかったよ」  ミカエルはうっとりするような、しかし欲望で瞳を潤ませて私の全身を眺めてため息をついた。 「我慢できない。君の中に今晩入りたいんだ……いいね?」  私は信じられないほどの快感の波に喘ぎ続けていて、やめてほしくなかった。初めての怖さより、初めて見た鍛え上げられた逞しい裸体と彼の甘いマスクに夢中になっていた。何より彼の持つ女性を喜ばせる技術に最高に蕩けさせられて、乱れてしまっていた。 「いいわ……」  私はイエスと言ってしまった。胸を震わせ甘く喘いで快感の波に溺れた。  彼と肌を重ねる喜びに、生きてきた中で一番の温かさを感じてしまった。  そうなのだ。  計算がすっかり狂ってしまった。  夜中に公爵邸のバルコニーから忍び込むほどアグレッシブな行動を取るとは思いもよらなかった。  フランならどうしたのだろう?  初めてフランになった日に部屋に飾られた赤や白やピンクの薔薇の花と鮮やかな紫のムスカリの花を覚えている。私が恋に落ちた日だ。  時は2週間と14時間先に戻る。つまり、2週間先のロベールベルク公爵邸から私達の計画はスタートする。私の体感では38時間前のことだ。  季節は薄紫のライラックが咲き誇り、公爵夫人や公爵令嬢の命が狙われるほどの計画が始まっていた。
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