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エヴァは顔を赤らめて、そばかすだらけの頬を少し緩めて馬番ジョージにうなずいている。私の方に素早く目配せをエヴァはした。
「分かったわ。じゃあリサ、私は先に戻っているわ」
エヴァは私と馬番ジョージの間に生まれるロマンスを邪魔してはならないと思い込んでいる様子だ。跳ねるように軽やかな足取りでライラックの花の咲くフォーチェースター城の庭を横切って城の方に戻って行った。
私の後ろにウォルターと呼ばれた黒づくめの若い貴族が立っている。彼は私たちの話を聞くようだ。私は立ち上がった。
「フラン、聞いてくれ」
馬番ジョージは私の瞳をまっすぐに見つめて言った。
――今、私のことをフランと呼んだの?
「ミカエルがリサを味方につけたかもしれない。リサがミカエルに惹かれている」
私は衝撃の言葉を聞いて馬番ジョージの輝くような美貌を見つめた。彼の髪はくしゃくしゃだ。
――それなのに、彼ったら本当に信じられないほど魅力的な瞳と唇をしていて……。
「今、ミカエルと言った……?」
私はハッとして馬番ジョージに聞き返した。
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