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「リサは……リサは……リサは、そんなことないと思うわ。彼女の父親は私の父親と同じロベールベルク公爵だわ。その証拠に私と彼女は瓜二つだったわ。私たちは祖母に似ているのよ。私はお父様のお母様にそっくりだと言われているの。つまり、同じ顔をしたリサもお父様のお母様にそっくりだということなの。リサは、あいつが何をしたのか知っていて、身を挺して時間を戻して……」
私は最後まで言い切れなかった。切なさと痛みともどかしさで、涙が込み上げてきて、そんなバカなリサがという思いでいっぱいになり、声が続かなかった。
「リサはあいつが何をしたのか知っているのに……そんなっ……うぅっ……」
私は泣き声を漏らしてしまった。
……なぜ?あいつはお母様を殺したかもしれないやつなのに……あいつはうちの土地財産を一切合財自分のものにするために権利書を盗んだやつななのに……
「フラン、一度リサと話そう。リサは君には正直に状況を話すと思う」
泣いて地面にしゃがみ込んだ私に、手を差し伸べた馬番ジョージは優しい眼差しで私を見つめていた。
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