リサの衝撃 フランSide

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 馬番ジョージは私の質問に黙った。図星のようだ。  ――そういうことなのね。女王陛下も知っていて、馬番ジョージも知っていて、この流行りの黒づくめの衣装を着た若い貴族も知っているということね。メアリーとバロン教授は明らかに知らない様子だったわ。  私は後ろにいる黒づくめの若い貴族を振り返った。 「ウォルターといったわね?あなた全て説明してくださるかしら?あなたも知っているのでしょう」  私は沈みつつある赤い夕日を見つめた。  ――本当に美しい城だわ。りんごの花が散る頃、私たちはまた困窮極める状態になるのかしら?時間を戻してもダメだったの?  ことロベールベルク公爵家の森が関わっているなると話は別だ。恋に落ちたとしても、私は守るべきものは守らねばならない。  悪いやつにやられるがままになるのは話は別だろう。  1点だけ、前回の時間軸と違うことがある。土地の権利書は全て私が持っている。この事実にはまだ誰も気づいていなそうだ。  ――もしかしてミカエルはリサを籠絡することに夢中になっている?  私は冷静になって対処する必要がありそうだ。もう泣かずにそうしよう。                
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