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「女王陛下が必要があれば陛下自らが話すとおっしゃられています。どうぞこちらへ」
ウォルターはダークブロンドの髪を撫で付けていた。それほど長くはない。カツラをかぶる趣味は無さそうだ。馬番ジョージはうなずいた。ウォルターは私の方を見つめている。
「あなた一体何者なのかしら?」
私は馬番ジョージに聞いた。ウォルターは明らかに貴族階級の出だ。それなのに、二人のやりとりはウォルターの方が圧倒的に身分が下であるかのような振る舞いだ。
「フォーチェスター城の馬番で、ヘンリード校の3期生に認められた男だよ。ただそれだけだ」
私は腕組みをしてジョージを見つめた。女王陛下にお会いするのは初めてだ。私は背筋を伸ばした。馬番ジョージはなぜか女王陛下とも顔見知りのようだ。よく分からないが、陛下自らご説明されるとあれば、私はお会いして聞くしかあるまい。
「女王陛下のところに案内してくださるかしら?」
私はウォルターに伝えた。
「彼はウォルター・ローダン卿だ。ローダン伯爵家のご子息だよ」
馬番ジョージはさりげなく私にウォルターの情報を伝えてくれた。
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