女王陛下 フランSide

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 私たちの後ろから馬番ジョージはついてきていたが、彼も非常に慣れた様子でリラックスして歩いていた。3人の中で私一人がガチガチに緊張していた。 「こちらでお待ちです」  ウォルターは重厚な扉の前で、私を振り向いてささやいた。 「いいわ。心の準備ができたわ」  私は小声でウォルターに伝えた。ウォルターはかすかに笑みを浮かべドアの外で待機していた従者に私の名を告げた。 「女王陛下。フラン・マルガレーテ・ロベールベルク嬢です」  一瞬の間があって、低い女性の声がした。 「入りなさい」  扉がゆっくり開けられて、私は中に滑り込んだ。完璧なカーテシーをしなければ!  初めて見た女王陛下は若々しかった。噂通り、大きなラッフルを首周りにつけていた。とても華やかで美しい印象だ。  エヴァのなりたがっている「メイド・オブ・オナー」たちがゴッファリングアイロンで丁寧にアイロンしたのだろうか、とふと私は思った。女王陛下には人を喜んでそうさせたいと思う何かがあった。 「あなたが、フランね。驚くほどそっくりだわ。リサがあなたたちを救うために時間を戻しました。二週間も。リサは本気だったのですよ。これはあなたにも理解して欲しいポイントなのです」  
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