351人が本棚に入れています
本棚に追加
私は静かにうなずいた。リサの本気は私も知っている。
「赤い鷲はロベールベルク公爵家の森を手に入れて、あなたの母君の公爵夫人の薬を作り出す力を狙っていました。赤い鷲のことを聞いたことがあるかしら?」
私は思っても見ない名前が出てきて驚いた。
「赤い鷲とは、スルエラの艦隊の帆に書かれているあのマークのことだと理解しておりますが」
私は急に話が広がったので戸惑いながら答えた。
「そう。背景にいるのはスルエラです。あなたたちの森と母君を狙っています。おそらくロベールベルク公爵も彼らが捉えたのだと私は考えています」
私は自分の後ろに馬番ジョージがいることに気づいた。馬番ジョージは女王陛下に臆することなく突っ立っている。
――ダメじゃない!ジョージ、頭を低く下げて腰を下げて!
私は目配せをジョージにした。ジョージは「何?」という様子で私を見つめ返した。
――だから、あなたは馬番だから……!
私は必死で百面相のような表情になってジョージに目配せをした。こんなことでジョージが咎められるようなことになっては困る。
「で、私の王子の意中の相手がこれほど魅力的だとは私も思わなかったわ」
女王はふっと笑い出して言った。
最初のコメントを投稿しよう!