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私がダニーに心配そうに聞くと、ダニはー大丈夫だと力強く微笑んで言った。私はほっと安心した。
私はダニーが準備した馬車に一人で乗り込んだ。御者台にダニーが乗り込んで、ミルクを飲み、パンをかじったダニーが鞭を振るって馬が勢いよく走り出すのを感じた。
――さあ、冒険の始まりよ。リサになりすまして、女王陛下のヘンリード校に忍び込むのよ!
ロサダマスケナのピンクの花が咲き乱れるロベールベルク公爵家の門を馬車が出た時、私はもう後には引き返せないと覚悟を決めた。
私は公爵家の土地も森も失うわけには行かない。母を失うわけにも行かない。婚約者ミカエルを決して許さない。
美しい田園地帯を抜けて、馬車ははちみつ色のライムストーンて造られた村の家々を通り抜け、カモや白鳥の泳ぐ川沿いの道を進み、緑の新芽を誇る木々の間を抜けて進んだ。普段は賑わうマーケットも今は朝早いのでちらほら人がいるだけだ。
公爵邸の馬車が村を抜けて行ったことに気づいた者はほとんどいないだろう。私は景色を楽しみながら、持ってきたカゴのパンを食べてミルクを飲んだ。
しばしの旅を楽しもう。
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