5.魔王の座

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 ガンガンガンガン!!  鋼を打ち付ける様なけたたましい音が、階段に鳴り響いた。 「火事だぞお!!」 その叫びに、小柄な生徒の胸倉を掴んでいた筋肉男の手が、少し緩んだ。  その隙に、小柄生徒が筋肉男の手から逃れた。 「てめ!!」  小柄生徒は、俊敏な動きで男の腕をすり抜ける。  そのまま階段を駆け下りた。 「火事だあ!!」 「逃げろお!!」  警告を発する声に、男は舌打ちする。 「ちっ」 悠然と階段を下り、一階へ来ると、逃げ惑う他の生徒を押しのけ、ダッシュで校舎を出て行った。
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