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「ところで、さ」
リアは、話題を変えた。
「ギイロは、竜王の骸のうわさ、聞いた事ある?」
ギイロは、不思議そうな顔をする。
「それって、骸がこの学園に保管されているって話ですか?」
「うん、それ」
「確か、魔石研究室の資材庫の奥に保管されてるって」
「え? 地下じゃないの?」
「地下? それは解りませんけど、俺は資材庫の奥って聞きました」
リアは、半ば呆れた顔をした。
――場所分かってんじゃん! なんであいつら自分で取りに行かないんだよ!
魔石研究室と言うのは、学園の研究棟にあった。
研究員となった資格所有者のみが入る事の出来る棟だ。
一般生徒は、特別な許可が無ければ入れない。
グリヴァスは、資格を持っていなかった。リアもそうなのだが。
「学園の研究棟は、何を研究しているのかわからない、あやしい場所だってもっぱらのうわさです」
「あ、ああ」
リアは、その話には、聞き覚えがあった。
魔族は、消費した魔力を人間の生気や魔石の力によって補う。いわば魔石はエネルギー源、食糧だ。
人間界には複数の魔石鉱山があり、長年、人間の奴隷によって採掘を進めていた。
しかし、人間の採掘スピードは決して速いとは言えず、この為、魔石研究室では、少数の魔石による効率的な魔力補充方法を研究していた。
また人体研究室では、人間を不眠不休で働かせる事の出来る方法を研究している。しかし、学園の生徒たちは、この研究室に人間が運び込まれるところを見たことが無く、娯楽の様に怪しいと噂し合っていた。
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