5.魔王の座

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「ところで、さ」 リアは、話題を変えた。 「ギイロは、竜王の(むくろ)のうわさ、聞いた事ある?」  ギイロは、不思議そうな顔をする。 「それって、(むくろ)がこの学園に保管されているって話ですか?」 「うん、それ」 「確か、魔石研究室の資材庫の奥に保管されてるって」 「え? 地下じゃないの?」 「地下? それは解りませんけど、俺は資材庫の奥って聞きました」  リアは、半ば呆れた顔をした。 ――場所分かってんじゃん! なんであいつら自分で取りに行かないんだよ!  魔石研究室と言うのは、学園の研究棟にあった。  研究員となった資格所有者のみが入る事の出来る棟だ。  一般生徒は、特別な許可が無ければ入れない。  グリヴァスは、資格を持っていなかった。リアもそうなのだが。 「学園の研究棟は、何を研究しているのかわからない、あやしい場所だってもっぱらのうわさです」 「あ、ああ」 リアは、その話には、聞き覚えがあった。  魔族は、消費した魔力を人間の生気や魔石の力によって補う。いわば魔石はエネルギー源、食糧だ。  人間界には複数の魔石鉱山があり、長年、人間の奴隷によって採掘を進めていた。  しかし、人間の採掘スピードは決して速いとは言えず、この為、魔石研究室では、少数の魔石による効率的な魔力補充方法を研究していた。    また人体研究室では、人間を不眠不休で働かせる事の出来る方法を研究している。しかし、学園の生徒たちは、この研究室に人間が運び込まれるところを見たことが無く、娯楽の様に怪しいと噂し合っていた。  
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