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6.研究棟の女
魔石研究室の主任研究員マキラは、青い瞳、白く長い髪を持つ白狼族の女だった。
白狼族は、優秀な研究員を多く輩出しており、高位魔族の中でも一目置かれる、もとい、やっかまれ、あるいは敵視される存在だった。
「マキラさん」
研究棟へ行こうとするマキラをリアが呼び止めた。
白い長い髪を白衣の上で優雅に滑らせて、マキラが振り返った。青い目が、射抜く様にリアを見る。
リアは、胸がドキンとなる。
――なんてキレイな人……――
「誰?」
冷たく、マキラが言った。
リアは、緊張しつつ名前を名乗る。
「あ、お、私は、リアと言います。魔王の……息子です」
リアは、魔王を強調し、話を有利に持って行こうと考えていた。何番目なのかの記憶は無かった。
マキラが、鼻で笑う。
「それで? 魔王の息子が何の用?」
「竜王の骸……、魔石研究室にあるというのは本当ですか?」
「だとしたら?」
「鱗を数枚、頂きたいのですが」
「ええっ?」
マキラは、半笑いで、訊き返した。
「鱗なんか持って行ってどうするの?」
「さあ、欲しいと言う人がいるんですよ」
――マジで、何すんだろ。何か作るような事言ってたけど……
マキラは、何か思い出すように、瞳を右上に上げ、すぐリアに戻した。
「見て行く?」
「えっ? いいんですか?!」
「話が早いから」
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