7.スカウト

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 四魔王子の姿が見えなくなって、リアはやっと立ち上がった。  グラネッタが、リアに歩み寄る。 「いいのぉ? あんなのに忠誠誓っちゃって」  リアは苦笑してグラネッタを見る。 「やった後で言われてもね」 「まあそうね」 「グラネッタ、強いんだね。スカウトして正解だった」 リアは、感心して微笑んだ。  昨日、竜王の鱗の回収に失敗したリアは、一計を案じた。  明日になれば、鱗はどうしたとせっつかれるだろう。  鱗を用意できない自分は、逆切れされて殺されるかもしれない。  いや、それは困る。  あんな痛い目もうあいたくないし、死にたくない。  どうする?  リアは、グラネッタのクラスを訪ねた。グラネッタは、教室にはいなかったが、図書館にいると教えてもらった。  図書館には、他に生徒がいたがまばらだった。  リアは、歴史分類の本棚の前でグラネッタを見つけた。  リアは、さりげなくグラネッタの横に並ぶ。 「どうしたの?」 グラネッタが、抑えた声で訊いた。  リアは、本棚の方を向いたまま、抑えた声で言う。 「俺、命が危ないんです」 「でしょうね」 グラネッタが、こともなげに応えた。  リアは、思わずグラネッタを見る。 「助けてくれませんか」 「なんで私?」 「嫌いでしょ、弟の事」  グラネッタは、ちらりとリアを見た。 「うん、嫌い。ほんと嫌い」 「因みに、何で」 「私より魔力があるくせに私より馬鹿だから」  イチロウにも兄妹がいたので、なんとなく、気持ちが分かるような気がした。 「私は魔王にはなれない。だから余計腹立つの」 本棚の本に呟く様に、グラネッタは言った。多くの高位魔族の女は、魔王に嫁として差し出す為の政治的道具と位置付けられていた。 「では、第一の側近になるのはどうですか?」
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