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8.魔王と朝ごはん
「イチロウ」
魔王が、何故かリアをイチロウと呼んだ。リアのさらさらの前髪を掻き上げ、微笑む。
「愛しているよ」
そう言って、顔を近付ける。その目は、息子を見る目ではなく、恋愛対象を見る目だった。
「くそ親父! 俺は息子だぞ!! 男だぞ!!」
そう言いたいのに、何故か声が出ない。
――どうなってる?!
みるみる魔王の顔が、唇が迫って来る。
――ぃやめろおおおおおぉぉおーーー!
「ぐはあっ!!」
リアは、息を吹き返したような声を上げて、目を覚ました。
ベッドの上だった。まだ暗かった。
自分の乱れた呼吸の声だけが聞こえる。
――ゆ、夢?
――何であんな夢見るんだ!? 意味分かんねえ!
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