9.魔の森サバイバル

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9.魔の森サバイバル

 魔王の城と魔界学園の間には深い森があった。  城側に森を抜けると、城の中に入ることが出来る。  そんな森を使った高学年向けの授業がこれから行われるところだった。  緑色の肌をした筋肉が隆々とした巨漢の先生は、自慢の身体を見せたいのか、上半身は裸だった。  先生が低く渋い声で言う。 「これからお前らは森の中に入ってゴールの魔王の城を目指す。人間界を支配する立派な魔族となる為、生き延びろ!」  大勢の生徒が引き気味になる中、グリヴァスが、鼻で笑った。 「脅しやがって、あのセンコー」  傍にいたヴォーグルが、面白そうに笑う。 「ゴールすれば魔王の城に入れるってところが、罠っぽくていいな」 「え? 罠?」 ガルヴァルドが、不思議そうな顔をした。  ヴァイバーが、冷淡に言う。 「その気になれば、魔王を倒しに行ける。誘ってるんだろ」  周辺にいた生徒たちが、四魔王子の会話を聞いて震え上がる。 「あいつらまじかよ」 「魔王を倒しに行く気か」 「んな事、出来るのかよ」 「まず森がやべえだろ」 「まず森がヤバい」  四魔王子は悠然と笑みを浮かべる。  魔の森は、入ったら簡単には出られない、危険な場所だった。にもかかわらず、年一でサバイバル授業が行われ、毎年多数の死傷者を出していた。死者は森に捨て置かれる。森の栄養になるからだ。負傷者は、運が良ければ先生に助けてもらえるが、当然評価点はもらえない。  次の魔王と目される程の充分な実力をもった四魔王子にとっては、娯楽の様な授業だった。 「低学年が一緒じゃないのが腹立つな」 グリヴァスが、苛立ちを滲ませて言った。 「森の中なら証拠を残さず殺せるもんね」 ガルヴァルドが、にっこりと笑って言った。 「そういうことだ」 「あのガキがいないんなら、どうだ、誰が生徒を一番殺せるか競わないか?」 ヴォーグルが言った。  グリヴァスは、目を輝かす。 「乗った!」 「えー、僕はあ、可愛い子ちゃんたちといちゃいちゃしながら行くからやらなーい」 ガルヴァルドが、にこにこと応えた。  ヴァイバーは、何も言わなかった。グリヴァスが、ヴァイバーを睨んだ。 「おいこらそこお!! 無駄口叩くなあ!!」 先生が、迫力のある声で、怒鳴った。 「あ? ヤるかコラ」 グリヴァスが、殺気の籠った目で先生を睨んだ。  先生は、薄笑みを浮かべる。 「おお! かかって来い! 我が筋肉の力を受けて見よ!」  先生の闘気が、いとも簡単にグリヴァスの殺気を飲み込んだ。 「ちっ」  グリヴァスは、ここは引き下がった。生徒狩りを楽しむことにした。 「戦えー!!」 先生の号令が轟き、生徒たちが一斉に森を目指して走り出す。
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