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リアは、声の方を振り返った。
闇の中に、二つの赤い目が光って見えた。
「ぎええええええ!」
恐怖のあまり気を失い、倒れた。
暗闇の中に声がした。
その声は、直接頭の中に響いていた。
『呪いを解いてよ』
リアの声だった。追い詰められたような、涙に滲んだ声だった。
『私には出来ないんです』
苦しそうに、若い女の声が答えた。
『このままじゃ、僕はずっといじめられるし、いつか殺されてしまうよ』
『そんな。貴方の事は、私が守りますから。私が……』
べろん、と、粘りのある太いものに顔を舐られる感触があって、リアは、はっと目を開けた。
目の前に、自分の身体より二回りは大きい、赤黒くごつごつとした肌の赤い目の蛙がいた。それが、大きな紫色の舌で自分の顔を舐めている。赤い目の主はこの蛙のようだった。
「気が付いたのかヨサ」
「ぎえええ、え……て、でけえーー!!」
「お前、助けたのにうるさいのヨサ!」
「蛙が喋ってるし?!」
「蛙じゃない! ゲゲなのヨサ!!」
「ゲ……よさ……?」
「ゲゲなのヨサ!!」
「あ、お、おう」
リアは、とにかく立ち上がった。立ち上がっても、ゲゲの目線はかなり上だ。
リアは、ゲゲを見上げた。
「なんか、助けてくれたみたいで、ありがとう」
ゲゲは、えへんと鼻を鳴らす。
「ゲゲは、この辺の主なのヨサ。前の前の前の魔王様から託されているのヨサ」
「あ、へー……?」
それ、だいぶ前だな、と、リアは思ったが、口には出さなかった。
リアは、ふと思う。
ゲゲは、かなり油断してるし、このまま連れてったら点が貰えるんじゃないか?
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