9.魔の森サバイバル

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 リアは、声の方を振り返った。  闇の中に、二つの赤い目が光って見えた。 「ぎええええええ!」 恐怖のあまり気を失い、倒れた。  暗闇の中に声がした。  その声は、直接頭の中に響いていた。 『呪いを解いてよ』 リアの声だった。追い詰められたような、涙に滲んだ声だった。 『私には出来ないんです』 苦しそうに、若い女の声が答えた。 『このままじゃ、僕はずっといじめられるし、いつか殺されてしまうよ』 『そんな。貴方の事は、私が守りますから。私が……』  べろん、と、粘りのある太いものに顔を(ねぶ)られる感触があって、リアは、はっと目を開けた。  目の前に、自分の身体より二回りは大きい、赤黒くごつごつとした肌の赤い目の(カエル)がいた。それが、大きな紫色の舌で自分の顔を舐めている。赤い目の主はこの蛙のようだった。 「気が付いたのかヨサ」 「ぎえええ、え……て、でけえーー!!」 「お前、助けたのにうるさいのヨサ!」 「(カエル)が喋ってるし?!」 「蛙じゃない! ゲゲなのヨサ!!」 「ゲ……よさ……?」 「ゲゲなのヨサ!!」 「あ、お、おう」 リアは、とにかく立ち上がった。立ち上がっても、ゲゲの目線はかなり上だ。  リアは、ゲゲを見上げた。 「なんか、助けてくれたみたいで、ありがとう」  ゲゲは、えへんと鼻を鳴らす。 「ゲゲは、この辺の主なのヨサ。前の前の前の魔王様から託されているのヨサ」 「あ、へー……?」 それ、だいぶ前だな、と、リアは思ったが、口には出さなかった。  リアは、ふと思う。    ゲゲは、かなり油断してるし、このまま連れてったら点が貰えるんじゃないか?
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