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2.学校に行きたい!
「学校に行きたい?」
朝食時、テーブルの向かい側の魔王が訊き返した。
魔族の中でも魔王をはじめとした高位魔族は、人型をしており、人と大して変わらない姿をしていた。(非常に余談ではあるが、魔王は、かなりのイケメンだった。)
イチロウは、兎に角、べたべたしてくる魔王から離れたかった。
リアの記憶によると、リアは、城下にある学校に通っていた筈だった。
それが何故か、最近は魔王に閉じ込められて不登校になっていた。
「駄目だ」
魔王が、言った。
「何で? 前は行ってたよ」
イチロウは、リアっぽく口答えした。
「お前、何を言ってるんだ。どうしたんだ」
「どうしたって……」
――離れたいんだよ! お前から!――
「本当に行きたいのか?」
魔王が、疑う様に訊いた。
「うん!」
イチロウは元気に答えるが、魔王は悩む。
――何で悩むんだ?!――
やがて、魔王が、重々しく口を開く。
「お前が、そんなに望むのなら、よかろう」
「うん! ありがとう! お父さん!」
イチロウは、喜びのあまり、満面の笑みで答えた。それを見た魔王は、
「リアーーーーッ!!」
両腕を広げたかと思うと、テーブルを挟んでいた筈が目の前に現れ、リアをむぎゅーっ! と、力強く抱き締めた。
――えっ?! 今? 何が起こった??――
「可愛いぞーっお前っ!!」
「ぐえっ!」
リアことイチロウは、父の抱擁に息がつまり気を失った。
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