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3.魔界学園
学校――魔界第一学園へは、馬車で登校した。
城下といっても、リアの足では一時間かかる距離だった。
学校に着くと、徒歩で登校してきた他の生徒たちに出迎えられた。
「おお、リア様!」
「リア様!! おかえりなさい!!」
彼らの多くは、家臣の子供たちだ。
親が魔王に対する服従を誓っている。子供たちもそれに倣っていた。
イチロウは、ちょっといい気分になる。
――魔王になるのも悪くないかも――
そんなリアを敵視する視線があった。
校舎に入り、廊下を歩いていると、
「リア」
と、低い声で呼び止められた。
振り向くとそこに、とりまきを壁紙の様に背負った者たちがいた。
あれは……!――
イチロウは、リアの記憶を探り、そして思い出した。
――魔界学園の四魔王子!!――
「リア、言ったろ――」
前列中央にいた、褐色の肌と炎の様に赤い髪、血の様に紅い瞳の異母兄が見下すように言う。火焔族の母を持つ魔王の五番目の息子、グリヴァスだった。
「――二度と俺の前に現れるなってよ」
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