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四魔王子――魔界学園において、魔王の子供の中でも後継者として有力な四人の息子がそう呼ばれ、中でもリーダー格のグリヴァスは、特に恐れられていた。
リアは、校舎裏に連れて行かれ、取り巻き連中から殴る蹴るの暴行を受けた。
――し、しまった。俺はいじめられていたのか――
イチロウは、リアの時の記憶が断片的なばかりに、いじめっ子の巣窟に舞い戻った格好になった。リア様と呼んでいたような者達も同じ魔王の息子の異母兄たちには逆らえない。
――馬鹿だ。俺。マジで馬鹿だ――
どおりで、魔王が真顔だったわけだ。
リアを閉じ込めてたと言うより、リアは好きで不登校になってたのか……。
てか、魔王のやつ、魔王という割に息子への溺愛がすごい。獅子が崖から子を突き落とす的なヤツじゃないのか。
他人事の様に後悔するイチロウ。
実際、リアは、イチロウにとって、他人だった。どうもピンとこない。
現世の自分なんだが。
異母兄たちは、ボコられている異母弟を見るでもなく、内輪の話で盛り上がっている。
「マジであのババア、ヤバいんだけど」
「犯すか」
「やめとけよ。あんなの。ぜってー不味いって」
「ははは!」
――なんの話してんだろ。気になる――
イチロウは、暴行を受けているにも関わらず、異母兄たちの話の内容が気になる。
ふいに気が付く。
――俺、ボコられてるのに、あんまり、痛くない。なんでだ?――
――もしや、これがギフトってやつか?!――
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