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「おい、リア」
急に、グリヴァスに呼ばれた。
グリヴァスは、リアに近づく。
リアを暴行していた取り巻きたちが、さささぁっと黒子の様に退いた。皆、緊迫感のある顔をしている。
――よっぽどグリヴァスが怖いんだな――
リアの前にグリヴァスが立った。
リアは、緊張の面持ちでグリヴァスを見上げる。対するグリヴァスは、無表情にリアを見下ろしていた。と、グリヴァスが、いきなりリアの腹部を蹴り上げた。
「ぐほおッ!」
勢い良く、リアの身体は吹っ飛ばされた。
地面を擦り、ゴロゴロと転がって、止まった。
「かはっ」
余りの衝撃にまともに息が出来なかった。苦しみに身体をよじらせる。
地べたで呻いている間に、グリヴァスが近寄って来た。倒れているリアの身体を右足で上に向かせると、潰そうとする様にリアの顔を勢いよく踏みつける。
「がはっ!」
鼻に激痛が走った。苦痛に歪んだ口の中に、グリヴァスの靴裏に付いていた砂利が入りこんだ。
リアの頭蓋骨がメキメキと鳴る。痛みと恐怖で、もはや何も考えられない。
頭がぼおっとして気が遠くなった。
――シ、ヌ……――
リアの早鐘を打つ心臓が、命の危機を知らせていた。
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