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「最終チェックだ。もう1度全部着て見せて」
マンションに戻ってから柾冬にそう言われ、綾は今日買ったものを一式着て見せた。
ダークグレーのジャケットの下に細かいストライプの入った白いシャツを着て、黒い細身のパンツを合わせると、カッチリしすぎず、品のいいスタイリングが完成した。
もともと大人っぽい綾はこの格好だととても高校生には見えない。
そして、シックな装いは綾の蠱惑的な美貌をさらに引き立てていた。
「凄くいいけど……」
「けど?」
「あんまり魅力的すぎるのも問題だな」
柾冬はそう言って綾に近づくとその細い体を腕に抱いた。
「だから、脱いで」
そう言いながら柾冬は綾の唇を奪った。
一瞬で深く絡むキスをすると、唇を離して見つめ合いながら綾が甘く囁いた。
「あんたが脱がせてよ」
「凄い殺し文句だな」
ボタンをひとつ外すたびに口づけながら柾冬は綾が着ているものを次々と脱がせ、ベッドサイドの椅子に掛けた。
そしてすべてを取り去ると柾冬は綾をシーツの海に沈めた。
「脱がせ上手だね」
首筋にキスを受けながら綾は柾冬の髪に触れた。
「君は煽り上手だな」
「脱がせるの、興奮した?」
「すごく」
柾冬がそう言うのを見て綾は笑った。
深雪と親しくなってから綾は以前よりたくさん笑うようになった。
「……可愛い」
「え?」
自覚なく自然に笑えるようになった綾を見て嬉しく思う反面、柾冬は複雑な思いに駆られる。
「そんな笑顔見せたら、皆が君に吸い寄せられてしまいそうで……」
「心配?」
綾は両手で柾冬の頬を包み、瞳を合わせながら訊く。
柾冬が黙っていると綾の方から口づけた。
いつも柾冬がするように上唇を喰み、角度を変えて下唇を吸いあげる。
「……綾」
「俺がこんなことするのはあんただけだよ」
そう言って再び綾の方から口づける。
「あんただけ」
吐息混じりに囁かれ、柾冬はきつく目を閉じて綾を抱き竦めた。
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