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「……あッ……もう……もう許して……」
柾冬のことを散々煽って挑発したことを綾は後悔した。
「だめだ」
「……はッ……ああっ……ああ……ッ」
身を捩って顔を逸らした綾の手首を掴み、柾冬はさらに奥深くを責めた。
「……や……あ……ッ」
「りょう……綾……」
「……あ、だめ……もう……ほんとに……」
髪を乱し、唇を震わせて綾が懇願しても、それは逆効果にしかならず、とっくに理性を手放している柾冬には届かない。
普段、柾冬がどれだけ手加減し、己を制御しながら綾を抱いていたのかがよくわかった。
「……柾冬さ……柾冬さん……許して……」
綾が震える手で柾冬の頬に触れると激しい律動が止まる。
「限界?」
綾の額に汗で張りついた髪を長い指で優しく掻き上げながら柾冬が言うと、綾は何度も頷いた。
「怖かった?」
「……どうにかなっちゃいそうで……」
そこで柾冬は小さく笑って綾の額に優しいキスを落とした。
「いつも、めちゃくちゃにしてって言うくせに」
綾は目を閉じてキスを受けながら小さな声で呟いた。
「……あんたがいつもどれだけ手加減してくれてるか、よくわかった」
「そうか」
「あんたは大人だよね」
綾は強い快感に潤んだ瞳で柾冬を見た。
「子どもっぽい挑発して……ごめんなさい」
「……全然子どもっぽくはないけどな」
柾冬は苦笑しながら綾の頬を撫でた。
普段どおりの優しい指先を感じて綾は目を閉じる。
「謝らなくていい」
下からすくうようにキスして柾冬が囁くと綾は安心したように息をつき、夜の静寂に溶けそうなほど小さな声で呟いた。
「柾冬さん……好き……」
囁きに応えて柾冬は今度はゆるやかに動いて綾を高みへと導いた。
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