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綾が真横に立つと柾冬はコンロの火を消して鍋に蓋をするとすぐさま腕の中に綾を抱き寄せた。
「柾冬さんおかえりなさい。出迎えようと思ってたのに……寝ちゃってた」
「ただいま綾。君の寝顔は何よりの癒しだよ」
腕に抱いた綾の額に羽根のようなキスをして柾冬は蕩けるような笑顔をしてみせた。
綾は胸がキュッっとなる。
「炊飯予約だけじゃなく風呂掃除までしてくれたんだね。ありがとう」
「……いつも何から何まであんたがしてくれてるんだから、俺だってそれくらい……」
綾が照れ臭くて目を逸らすと柾冬は長い指で綾の顎を上向かせながら言う。
「すごく嬉しいよ」
そのままゆっくりと唇を重ねられ、綾はうっとり目を閉じる。
「綾、好きだよ」
「……ん」
チュッチュッと音を立て、綾の唇を味わうようにキスをして柾冬はその細腰を強く抱いた。
「……柾冬さん、料理、は?」
「あとは蓋をして放置して味を染みこませるだけだから」
そう言いながら柾冬は綾の身体を両手でひょいと持ち上げると流し台の作業スペースに座らせた。
「煮物に味が染み込むのを待つ間、君をつまみ食いしてていい?」
「……え?あ……んぅ……」
言うが早いか柾冬は情熱的な口づけをしながら綾を押し倒し、部屋着のシャツの中に手を差し入れた。
「……んっ、ンンッ……柾冬さ……だめ……」
綾は柾冬の厚い胸板を押し戻そうと手を上げたが、巧みなキスと胸元への愛撫によってたちまち身体から力が抜けてしまう。
「……綾、少しだけ……」
「……ふ……うンッ……」
ゾクゾクした快感が背筋を走り、綾は白い喉を反らしながら立て続けに甘い吐息を溢した。
「……綾、可愛い」
柾冬は綾の透けるように白い喉に吸いつきながら同時に長い指で胸の突起を弄った。
「……や、あぁ……だめ……だ、めッ……」
言葉とは裏腹に綾の声はどんどん小さくなっていき、かわりに熱い吐息が忙しくなり、やがて甘い嬌声へと変わっていった。
結局、綾は頭のてっぺんから足の爪先に至るまで柾冬に食べられてしまい、おかげで煮物にはじっくりと味が染み込んだのだった。
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