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「変な電波……? 迷彩は完璧だったはずだ」
「せやね、ここの監視カメラの映像をジャックするくらいや、相当自信がないとこんなことでけへんわ。でもな、おれの頭のなかのは特別製やねん。ジャーナリスト志望やさかい、電波関係を細かく分析できるようにしてんねん」
軽木モウタは朝、目にしたのと変わらぬ『親愛』の表情を浮かべている。
「学校にタレこむつもりか?」
あっはっは、と軽木モウタは笑う。
「アホか。そんなつもりあれへんことなんか見たらわかるやろ。マンガのそれっぽいシーン演りたけりゃ付きおうたるよ――『そう言ったら、どうする?』――あかん、似合わへん」
あっはっは、とまた笑う。
言動に嘘はなさそうだ、とマイクロコンピュータは教えてくれる。僕の直感とも一致する。
信じてもよさそうだ。
「何をしているかって、言ったね」
僕はすべてを説明した。コンテストに出場すること、宵谷ネハンの歌声を再現しようとしていること、まだうまくいっていないこと。
「おれも一枚噛ませてくれへんか? 知りたい情報あれば調べたるよ」
興味を示してモウタはそう告げた。
こうして僕たちは三人になった。
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