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夜、自宅はライブ会場と化していた。
立体映像に三つの人影がある。中央にいるのは宵谷ネハン。その右隣には頭ひとつ大きい女性型アンドロイド、その姿は人と見紛うばかりだが、額にはバーコードが載っているし、声も口の部分のスピーカーから流れる合成音声で、その思考もAIが担当している。
男性型、女性型問わず福祉の現場で活躍することもある精巧なヒューマノイドだった。
宵谷ネハンの左隣にいるのもまたアンドロイドだが、そこに肌はなくいかにもロボットらしい銀色の素体をさらしている。女性らしさをそなえる丸みを帯びたデザインが特徴で人間とロボットのあいだを思わせた。彼女もまた合成音声だし、より機械らしい声を発していた。
今日は彼女たちのユニットの初ライブだった。
ヒューマノイドの声はもはや人と変わらない。
僕たちのしていることは工学の域を外れ、もはや芸術と変わらない。人間が探求する姿勢に意義がある。
僕たちのロボットもすでにその域にはあるのだ。だが、僕が求めるのはその先。
宵谷ネハンの歌声にほかならないのだ。
ピースが欠けている。
いまだ存在する空白を埋める術を僕は知らない。
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