その川を越えたずっと遠く

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 さて、ある日の夕方。  なぜそうしたかはわからない。しかし、自室にいたみかるは、めずらしくスマホを手にとっていた。母を守るべく、めったなことでは触れなくなっていたそれを。  と、新しい通知の中に驚くべき一文を見つけた。 『速報 アズンバ、電撃解散』 「うそっ!」  思わず叫んでいた。迷いなく、ニュースサイトヘアクセスする。まぼろし、ではなかった。アズンバは、結局なにをしているのかよくわからなかった彼らは、二週間後に解散する。  よろこびにうち震えながら、記事を最後までスクロールしていく。するとそこに、もうひとつの驚くべき一文があった。 『なおアズンバの所属事務所は、来月中旬、三組の新グループの同時デビューを発表した。  活動形態は、アズンバを継承する模様』  みかるはゆるりと立ち上がる。さて、来月からまためんどいぞ。でもぜんぜんへいき。こんなちっさいことで、音をあげたりはしない。  でもこれって、いつまで続くのかな。  ひとつひとつはちっさいことでも、永遠に積もり積もった先で、おれはどうなっちゃうのかな。
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