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 人間にとって本当に辛いのは、孤独だと思うの。  痛みや苦しさや、貧乏だったり地位が低いことよりもはるかに辛い。  あまり居心地の良くないこの広い部屋で、ただ一つ気に入っているもの。  大きな窓から見上げる月の綺麗さ。  会いたいなぁ。  その日は満月だったから、いや別に満月は関係ないけど何か理由づけがしたかっただけ。  彼女に電話をかけた。  声が聞きたかった。  話がしたかった。  会いたい。   「今から行きます」  そんな言葉が返ってくるなんて思っていなかった。  会えるんだ、そう思って見上げた月はいつもより輝いていた。 「早乙女さん、最近寝れてますか?」  彼女は会うなりそんな事を言う。  前回泊まった時に、睡眠薬を見つかったからだろうか。 「ご飯は美味しく食べれてますか?」  ご飯はかろうじて食べてるが美味しくって? そこは重要なのだろうか? 「今日は私が早乙女さんの愚痴を聞きます」  そんな宣言をされて、泊まっていくと言う。  どうやら、私の疲弊がバレバレなようで、元気付けたい一心らしい。  甘えてもいいの?  同じベッドで二人で眠る。 「うさちゃん」  前回の時も感じたけれど、体温とか匂いとか声も、とても安らぐ。  だから弱音を吐いても大丈夫な気持ちになる。  自分が悪いんじゃないと思わせてくれる。 「人生の中でタイミングが悪い時ってありますよね、今じゃなければって思うこと」  本当にそうだ、もしも今じゃなくてもっと早くうさちゃんに会えていたら。  うさちゃんが彼に会う前に、私に会っていたら?  二人は恋人になれただろうか。  そんな想像をしていたら、いつの間にか眠りに落ちていた。  
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