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 他人のものを奪おうとするだなんて、自分がこんなに強欲だったとは知らなかったな。仕事が順調にいっているから調子に乗っているのか、彼女がそれだけ魅力的なのか。 「せっかくだから可愛いランジェリーも買わない?」  これも同性の特権よね。 「試着だけでもいいじゃない」  少し強引に勧めれば、満更でもなさそう。 「早乙女さん、どうですかね」  試着室から顔だけ出して恥ずかしそうにしている。え、見てもいいの?  そうか、私がビアンであることは知らないものね。 「どれどれ」  思わず息を飲んだ。触れたくなったけれど理性で抑える。 「可愛い、似合ってる」 「ほんとですか?」 「もちろんよ、彼氏に見せるなんてもったいない」  あ、心の声が漏れてしまった。 「あは、早乙女さん面白いですねぇ。じゃ買おうかな」  嬉しそうな顔をする彼女の下着姿を、彼氏より先に拝めたことを心に留めておく。 「洋服も買ったし、ランジェリーも買ったし、パンプスはあるし、あとは」 「バッグとか小物? あ、化粧品や香水なんかは?」 「そうですねぇ」  彼女がチラリと目をやったのは時計、これからデートの約束でもあるの? 「もう遅いし今度にする? 次回はメイクもさせてね」 「はい是非、お願いします」  これで解散かと覚悟していたけれど、インソールのお礼にと食事をすることになった。  やった! 一緒にいられることもだけど、今日は彼には会わないことが嬉しい。  勝手にライバル認定しちゃってるけど、まだ私と彼との戦いは始まったばかり。まずは同じ土俵に上がらないとね。  もっともっと仲良くなりたい、そう思っていた。  
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