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 彼とのデートは週末が多いらしく、必然的に私は平日の夜に彼女を誘う。  ご飯を食べたり、軽くお酒を飲んだり。  定時で仕事が終わった日に、約束していたメイクをさせてもらった。  私がいつも化粧品を購入しているショップで、特別に試させてもらう。 「肌に合う合わないもあるからね、ちゃんとしたものを使った方がいいと思って」 「ありがとうございます」  間近で見るとやっぱり、肌がきめ細かくて綺麗なのよね。お化粧しだいで印象が変わるから、今回は私好みでーー 「どうかな?」 「……これ」  言葉に詰まっていたからドキドキした。まるでプロポーズの返事を待っているように。 「え、これ本当に私?」  キラキラした目で私を見る。気に入ってくれたみたいだ。 「じゃ、お願い」  お店のスタッフには事前に気に入れば購入すると伝えていた。 「はい、準備出来ています」  さすが、仕事が早い。 「うさちゃん、これは私からプレゼントするわね。やり方のコツはまたゆっくり教えるから」 「そんな、悪いですよ」 「いいの、私がしたいからするの。それとも迷惑?」 「いえそんな、嬉しいです」 「せっかくだから、このまま飲みに行かない? たまにはお洒落なバーとか」  もちろん、いつも行くビアンバーではなく、夜景の綺麗なバーをリサーチ済みだ。 「うわぁ、綺麗」 「平日だから空いてるわね、窓際の席が空いていて良かったわ」 「このカクテルも美味しい、早乙女さん連れてきてくれてありがとうございます」 「こちらこそ、一人じゃなかなか来られないもの。彼とはこういうお店には来ないの?」 「ないですねぇ、はなからお洒落なものは似合わないって思われてるみたいだし。飲むのは専らビールだし」 「そんなことないのにね、うさちゃんが可愛く変身したらびっくりするかもね」  突然化粧も服装も変わったら彼はどう思うのだろう。自分のために変わったと思うのか、あるいは別の男性の影を疑うのか。 「どうかなぁ、気付かなかったりして」 「え、そんなに?」 「案外鈍感、というか私に興味ないかも」 「それはないんじゃない?」  本当にそうなら、私が取っちゃうんだけど。 「あぁすみません、また愚痴になっちゃう」 「いいよ、私でよければ愚痴でもなんでも聞くよ。話してスッキリすることもあるもの」 「早乙女さん、優しい」  彼の愚痴なら大歓迎、逆に惚気なんて聞かされたら泣いちゃうわ。 「あ、お代わり頼む?」
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