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「お義母さん、俺たちと同居するのはどうしても嫌なのかな」
母は力なくうなずく。
「そうみたい。私も今まで何度か説得してみたんだけど、どうしても私たちとの同居は嫌みたいなの」
「何が理由なんだろう。俺に遠慮してるのかな」
「かもしれない……」
「遠慮なんてしなくていいのになあ。そうだろ?」
「とにかくお母さんにもう一度、同居の話をしてみようと思う」
そんな会話を交わしながら、僕たちを乗せた車は祖母の住む田舎町に入っていった。
時刻はすでに深夜の二時を回っていた。
山裾に建っている、祖母が一人で暮らす古い一軒家の前に車が停まる。
僕たち三人は玄関を通り抜け、祖母が寝室として使っている狭い部屋に足を踏み入れた。
祖母は水色のパジャマ姿で、ベッドに腰かけて、腰をさすっていた。
申し訳なさそうな表情で祖母が言う。
「みんな、こんな遅い時間に来てもらって悪かったね」
「いいのよ、お母さん。それより大丈夫なの、腰は」
「ちょっと強く打ったから少し痛むけど、とりあえず大丈夫みたい」
僕は祖母の隣に腰かけた。
「おばあちゃん、まだ痛いの?」
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