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「警察の話だと転んで頭を強く打ったみたい。新聞が新聞受けにずっと入ったままになっていたのを配達の人が不審に思って通報してくれたんだって。それで家の中に入ってみたら、すでに亡くなってたみたい」
ハンドルを握りながら、父が呟くように言う。
「お義母さん、せめて同居してくれてたらこんな悲劇も防げたかもしれないなあ」
「そうね」
祖母の家の前には、近所のやじ馬が群がっていた。そして数台のパトカーも停まっている。
車を降りた父と母に、刑事らしい男が近づいてきて、頭を下げ警察手帳を示した。
父は自分たちが祖母の家族である旨を刑事に告げた。
刑事は難しい顔をして、父と母に言った。
「この度はお悔やみ申し上げます。お母様のご遺体はすでに警察署に運んであります。それにしても一体何が起こったのやら、私たちにもわからんのですよ」
なぜか首をかしげる刑事。
母が聞いた。
「あの……おっしゃることがよくわかりませんが。母が転んで亡くなったという事故でしょう?」
「それは間違っていません。おっしゃる通りです。しかし、あの三人の身元がわからんのです」
「三人……? 三人って……?」
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