邪馬台国所在地論争の原因

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邪馬台国所在地論争の原因

 日本の古代史最大のミステリーといえば、邪馬台国の所在地。  邪馬台国はどこにあったのか?  この謎は、これまで多くの歴史愛好家、いや、歴史好きに関わらず、多くの日本人を夢中にさせてきた。    これまで多くの研究者が様々な角度から研究を重ね、邪馬台国の所在地を推定してきた。  その結果、邪馬台国の所在地の候補地として、有力な候補地といわれている九州と畿内にとどまらず、日本各地のあらゆる場所に、いや、果ては外国にあったという説まで……ありとあらゆる場所が推定されてきた。  しかし、何百年と研究と議論が重ねられてきたにも関わらず、いまだに「邪馬台国はここにあった」というはっきりした答えはない。  なぜ、邪馬台国の所在地は特定できないのか。  そもそも、なぜ、これほど多くの候補地があるのか。  今回はその答えを明らかにしたい。  ……それでは、当時の邪馬台国の人々に、この古代史最大の謎を明らかにしてもらおう。 「そろそろこの土地も飽きた。別の土地に行こう」 「卑弥呼様、またですか?」 「まだこの地に来て一年も経っていませんよ」 「卑弥呼様のわがままで……いや、失礼。卑弥呼様の考えで邪馬台国を別の土地に移すのに、我々側近や民衆がどれほど苦労していることか」 「うるさい。もう決めた。民衆にはこれから伝える。『ここの土地は邪悪な気に覆われている! すぐに移動する!』とな」 「それはインチキでは……」 「自分が飽きただけなのに、それを邪悪な気に覆われているのが理由とか、邪馬台国を束ねる女王としてそのようなやり方はどうかと」 「何て気まぐれでわがままな……失礼。ひとり言です」 「ええい、うるさい。さっそく移動するぞ。次に行く場所は……今度はここから離れた場所がいいな。よし、ここから東に行った場所にしよう」 「はあ。そんな適当に……」 「……わかりました」 「では、これから民衆にその旨を伝えたら移動開始ということで」 「それと、ここの土地でいつものあれをやっていくのを忘れずにな」 「またあれですか?」 「あの、『私の美しさと権力を後世の人間に伝えるために、私がこの土地にいたという証を何か残していこう』っていう、わがままで目立ちたがりで自己顕示欲の塊のようなことを……失礼しました」 「この土地でも、土地の名前に卑弥呼様に関係した名称をつけたり、今使っている道具をその土地に埋めていったりするんですね。ここには何を残していくつもりですか?」 「そうだな……よし、決めた。ここには魏の皇帝からもらった金印を埋めていくぞ」 「えっ……」 「皇帝からいただいたあの金印を埋めてしまうのですか?」 「なんて罰当たりな……」 「もはやあんな金印なんてどうでもいい。それよりも、次の土地でおいしい食べ物や私の美しさを引き立たせる美しい首飾りを見つけるほうが大事じゃ。さあ、すぐに移動の準備を始めよ!」 「……」 「今度で何回目の移動だ?」 「知らん。もはや覚えておらん」 「この国だけでも数十カ所。あとは船で大陸に渡って異国へ行ったこともある気がするぞ……」  ……これが「なぜ、邪馬台国の所在地は特定できないのか」「なぜ、これほど多くの所在地の候補地があるのか」の真実である。  ……邪馬台国の女王・卑弥呼は引越しが好きだった。  いや、邪馬台国の女王・卑弥呼は、わがままで、自己顕示欲が強くて、飽きっぽい性格だった……。
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