降臨

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降臨

 光が徐々に収まり、俺は恐る恐る目を開け始めた。その瞬間、祭壇の上には、まるで夢の中から現れたかのような半透明で神々しい存在が浮かんでいた。その輝きは、まばゆくも静かで、見る者の心を包み込むようだった。 (あれが……精霊……なんか?)  俺は驚きと恐怖を感じるほど素晴らしさを感じつつ、目を凝らしてその姿を見つめた。輝きが少しずつ弱まり、その後ろ姿が徐々に浮かび上がってくる。頭には左右にツノのある兜、肩から脚を覆う長いマントを身に着けていた。そして、マントが風に舞うと、その全体像が明らかになった。全身は筋肉で隆起し、まるで鋼鉄のような重厚なパンツとブーツを着用し、片手には長い双刀剣を持っている。 (精霊というより、これは武人やな……)  その姿には、圧倒的な力と威厳が感じられた。しかし、他の村人たちには、この武人が見えている様子はない。肥満神、やせ神、そしてこの武人と、神々の存在が人々には見えないのだろうか。  その時、広場にはドラムの音が鳴り響いた。ドラムは軽快なリズムを刻むように音を発し続け、坊主が目を閉じながらドラムの鼓動に合わせて優雅に踊り出した。彼は流れるように回転し、独特なリズムで舞い上がる。まるで、ドラムの鼓動する数を数えるように。  やせ神が肥満神に襲いかかろうとした瞬間、武人は迷うことなく剣を一閃させた。その一振りで、強烈な衝撃波が発生し、やせ神を襲った。まるで空気そのものが切り裂かれたかのようだった。 「グギャャー!」  やせ神は、剣の一振りでボロボロになり、裂けた肉体から苦しげな声を上げた。それでも、彼は必死に立ち上がろうとする。 「貴様ハ何者ダ!? 誰デアロウト肥満神憑依ノ邪魔ヲスル者ニハ消エテモラオウ!!」  やせ神は、憎悪の念を込めながら身体を分裂させ、2体に増えた。分身したやせ神たちが、武人を睨みつけていた。  武人は言葉を発することなく、ただその剣を握りしめたまま、2体のやせ神を静かに見つめ続けた。やがて、村の広場は緊迫した沈黙に包まれ、ただ風の音だけが響いていた。どちらが次に動くのか、俺は息を飲み、固唾を飲んで見守っていた。
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