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第四話 summer vacation
トムとは仲がいい友達だけれど、恋人未満になってしまった。
彼の性格もあるのだけれど、他の子と仲良くしても豪雨にはならないって。そんな理由で恋人未満なんて、こっちが願い下げだわ。そんなこんなでまだ彼氏は作れていない。
明日からSummer vacation。休み前に彼氏を作って楽しもうと思っていたのだけれど。
コンコンコン
ドアを叩く音がして、ドアを開けるとメアリーだった。
彼女はHiと言ってズカズカとあたしの部屋に入り、ベッドにダイブした。そしてスルスルと服を脱いでいく。最終的にはあたしと同じ様に下着姿になって行く。
珍しい事ではなくここでは標準らしい。日本ではあり得ないであろう。とは言えJKになってまもなくイギリスに留学したため日本の風習はよく知らないのだけれど。
「メアリー。これからの予定はあるの?」
「予定があったらここに来ないわよ」
まあそうだろうね。
これでメアリーもSummer vacationは暇決定になった。
暫くあたしの部屋でゴロゴロしていた二人はランチに行く事になった。
あたしが服を選んでいるとメアリーは着て来た服を着て玄関口で待っている。
「ちょっと肌寒くない?」
「マナミ、暑いくらいだよ」
完全に感覚がずれている。
イギリスと言えば雲空を思い浮かべる人もいるだろう。晴れよりも曇り空の方が圧倒的に多い。
メアリは曇り空の日でもノースリーブで出かける。あたしは念の為カーディガンを持って行こうとすると、マナミ寒がりなんだねとあり得ない仕草を見せる。
わかったわよ。持っていかないから。
あたしはポーチを持って家を出た。
いつもの日本料理店に入り色々頼んだ。
あたしはイギリスに来てまずは日本料理店を探して徐々にイギリス料理に慣れるつもりだったが、メアリーがハマってしまって今だに日本料理店以外に行ったことがない。
「マナミ、日本料理最高だよ。あたしも日本に行ってみたい」
メアリーはそう言うが、日本国民がいつもレストランに行っているわけではない。それぞれの家庭料理があるだろうし、イギリスだってそれぞれあるだろう。
あたしが肯定すると今にでも行きたいって言いそうなので適当に相槌を打つ事にした。
「マナミ、日本ではどんなところに住んでいたの?」
「1回目の授業で話したよね」
「そうなんだけれど、面白半分で聞いていたから覚えていない」
まあそんなところよね。
今話したからって理解できるわけではないと思うし、メアリーの日本に行きたいと思う気持ちを冗長させるだけなので、いい事ばかりではないよと付け加えて話す。
「あたしは東京の田舎町に住んでいたけど、何もないしバイトできないから遊べる範囲は狭いよ」
「そんなんだ。でも男の人は可愛いよね」
やばい!
メアリーはそっちを望んでいるんだ。
「そんな事ないって」
「マナミは彼氏いたの?」
「いない、いないよ」
「そっか。だからここで作ろうと頑張っているんだね」
あたしは飲み物をブーっと吐き出した。
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