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奥の個室に入って、私はメニューを見て注文をする。
副社長にはお酒と食べたいものを選んでもらって、それに追加でおススメなんかを注文する。
女性が出て行けば、この場には二人きりになった。
「……その、なんていうか、意外ですね」
しばらくして、副社長がそう言葉を零された。……意外。
「香坂さんって、お綺麗なのでもっとこう……おしゃれな場所に行くのかと」
彼のお言葉に、からかいの色は含まれていない。多分、心の底からそう思っているのだろう。
……悪い気はしない。だって、何度もいうように彼は私の好みド真ん中なのだから。
「個人的主観で申し訳ないのですが、おしゃれなお店って割と高いじゃないですか」
そりゃあ、おしゃれなお店でリーズナブルなところだってあるとは思う。ただ、うん。私の知っているおしゃれなお店は、とても高級な場所ばかりなのだ。
……会食のためにお店を探すから、それはそれで当然なのかもしれないけれど。
「私は、その。……節約が趣味みたいなものなので」
あと、二週に一度飲みに行くのが楽しみ。……もちろん、同性と。
それは心の中だけで付け足して、私はメニュー表を元の場所に戻した。
「その、副社長は、こういう場所で本当に大丈夫でしたか?」
さすがに店員さんの前では本音を言えないだろうから。
その一心で問いかけてみる。副社長は、きょとんとされていた。
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