第1章

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「なにか、連絡でもありましたか?」 「い、いえいえ、そういうわけでは!」  慌ててスマホのディスプレイを暗くして、曖昧に笑う。  というか、今の格好がいただけないような気もする。 「あの、えぇっと。服、着てきます……!」  私は慌ててベッドから下りて、散らばる衣服を拾い上げる。なんだろうか。……こういうシチュエーション自体が初めてなので、どういう反応をすればいいかがわからない。 (シチュエーション自体じゃない、か。……私、男の人とこういう風になるのハジメテだし)  理想を貫きすぎた結果、処女を貫いていた。あれ、ということは、私のハジメテの人って丞さんになる……の、か? (うぅ、本当、好みド真ん中だから許せてしまう……!)  記憶がないのが、ちょっと悲しい。  私がどういうことを言ったとか、どういう態度だったとか。そういうのは蘇ってこないでいいから、彼の肉体美だけは蘇ってきてほしい。……都合がいいか。  そう思いつつ衣服と下着を集める。そのまま逃げるようにバスルームに入って、扉を閉めた。
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