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「これ、感じ悪くなかったよね……?」
とくとくと早足に音を鳴らす心臓。その音を感じつつ、私はそう呟いた。
そうだ。私の処女云々よりも、今後も彼と顔を合わせるのだ。気まずくならないようにせねばならない。
「一夜だけの関係でも、別に私は良いんだけど……」
……本心ではそれは嫌だって思ってる。でも、丞さんほどの人になれば、より取り見取りだ。
なにも私を選ぶ必要なんてない。それだけは、わかる。
そんなことを考えて、私はショーツを履いて、ふと気が付く。
「もしかして、ブラ忘れた……?」
今更この格好で戻るの、気まずい……。
でも、戻らなくちゃ。ブラウスだけ着るかな。
そんなことを考えていると、扉がノックされる。私は慌てて返事をする。
「は、はい!」
上ずったような声だった。緊張がこれでもかというほどに伝わる声で、なんだか恥ずかしい。
そんな私を他所に、扉が開いて丞さんが顔を見せる。
「その、あんまり、こういうの持ってくるのどうかと思ったんですけど……」
彼が気まずそうに視線を逸らして、ぶっきらぼうに私に手を差し出す。そこには、私のブラがあった。
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