第1章

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「そ、そんなの……困ります」  いろいろな意味で、私が困る。  ゆるゆると首を横に振ってそう言って、彼のほうに頭を回した。  瞬間、唇になにかが触れる。 「んっ」  触れるだけのキスを数回。唇を舌でなぞられて、開いた私の唇にねじ込まれる厚ぼったい舌。 「ぁ、あっ」  なんだろうか、この感覚は。身体の奥底がじんと熱くなってきて、身体に力が入らなくなって。  手からブラが滑り落ちて、床にぱさっと落ちた。 「杏珠さん。……あの、もう一回シタいです」  息が当たる至近距離で、そう言われて。顔にカーっと熱が溜まっていくのがわかってしまった。 (もう一回シタいってことは……やっぱり、関係を持った、ということよね!?)  驚くところはそこじゃないのだろう。ただ、やっぱり。  今更「私たち、身体の関係を持ちましたか?」なんて問いかけることはできなかった。 「む、むむ、無理、ですっ!」  ぶんぶんと首を横に振って、彼の頼みを断ろうとした。  けど、彼は背後から私の胸のふくらみに触れてくる。やわやわと揉みしだかれて、未知の感覚が身体中を駆け巡る。
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