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「だ、だめ、だめ……」
弱々しい声で、拒否する。
瞬間、私の乳房を掴む彼の手の力が強くなった。
さらには、彼の顔が私の耳元に近づくのがわかってしまう。
「嘘、言わないでください」
まるで私の心の奥底も見透かしているような言葉だと思った。
自然とごくりと息を呑んで、指先に力がこもる。……あぁ、ダメだ。
(気持ちいい……)
なんだろう。私の気持ちがあっさりと陥落してしまいそうだった。
「可愛いですね。昨夜もとっても可愛かったんですけど、明るい場所で見るともっと可愛いです」
「……ぁ」
丁寧なのに、確かな欲を孕んだ声。
お腹の奥底がゾクゾクとする。この感覚は、身体の奥底に染みついている。
「杏珠さん。……許可、してください」
……彼は、私が許可を出さなければ抱こうとはしないだろう。
本当に拒否すれば、諦めてくださるだろう。ただ、なんだろうか。このまま続けてほしいって思う気持ちもある。
「ぁ、あっ、た、すく、さん……」
何処か上ずったような声で彼を呼んで、彼のほうに顔を向けて。
彼の目に映る私自身を、見せつけられる。……無理、恥ずかしい。
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