第1章

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「だ、だめ、だめ……」  弱々しい声で、拒否する。  瞬間、私の乳房を掴む彼の手の力が強くなった。  さらには、彼の顔が私の耳元に近づくのがわかってしまう。 「嘘、言わないでください」  まるで私の心の奥底も見透かしているような言葉だと思った。  自然とごくりと息を呑んで、指先に力がこもる。……あぁ、ダメだ。 (気持ちいい……)  なんだろう。私の気持ちがあっさりと陥落してしまいそうだった。 「可愛いですね。昨夜もとっても可愛かったんですけど、明るい場所で見るともっと可愛いです」 「……ぁ」  丁寧なのに、確かな欲を孕んだ声。  お腹の奥底がゾクゾクとする。この感覚は、身体の奥底に染みついている。 「杏珠さん。……許可、してください」  ……彼は、私が許可を出さなければ抱こうとはしないだろう。  本当に拒否すれば、諦めてくださるだろう。ただ、なんだろうか。このまま続けてほしいって思う気持ちもある。 「ぁ、あっ、た、すく、さん……」  何処か上ずったような声で彼を呼んで、彼のほうに顔を向けて。  彼の目に映る私自身を、見せつけられる。……無理、恥ずかしい。
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