第2章

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「まぁ、事実は事実……というか」 「嘘」  私の口が勢いあまって言葉を紡いだ。慌てて口を手でふさぐけれど、丞さんは苦笑を浮かべてゆるゆると首を横に振られるだけだ。 「昔からモテてはいるんだよ。ただ、中途半端っていうのが嫌いなんだよ、こいつは」 「だって、好きでもないのに付き合って期待させるのはいやじゃないですか」 「まぁ、その気持ちはわからんでもない。俺も英麻以外と付き合ったことはないし、付き合う気もなかったからな」  旦那さんの視線が、奥さんのほうに向けられる。彼女は嬉しそうに頬を緩めていた。 「私もしーくんが初めての人なんですよ。小さい頃から、私、絶対にしーくんと結婚するって言ってたから。私たち、幼馴染なんです」  にっこりと笑った奥さんの言葉は、妙に説得力がある。だって、このお二人、とってもタイプが違うし、年齢も離れているし……。 (出逢う場が、なさそう……)  完全に身勝手な偏見だけれど。
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