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いつの間に仲良くなってるんだという疑問の言葉を投げかける代わりに、へえと言葉を返す。そのタイミングで机の上に置いていた御園のスマホが着信を告げる。画面に表示されたのは永倉の名前だ。
登録はしてあるが、互いに仕事以外で連絡したことはない。仕事以外で連絡を取る用がないのもある。それに何かあれば永倉は御園よりも親しい柳に連絡を取るだろう。
それで御園に連絡してくるとしたら理由は一つ、読モ妻殺人事件だ。電話に出ればやはりと言うべきか、優樹菜の名前が出てくる。ただし、御園の予想とは少し違うかたちで――
『店の方に、三宅優樹菜から電話があったそうです』
「はあ?」
インスタで匂わせ投稿をした後は、真利亜の遺族のもとへ連絡を入れる。
――どんな神経してんのよ?
その思いは永倉も同じらしく、その声には緊張感が含まれている。
『竹田さんが話を聞いたそうですが明日、警察に知っていることをすべて話す。話してもいいかと』
「すべてを話すって」
『おそらく僕らが知らない――たとえば灯里ちゃんの血縁上の父親とかの――話じゃないかと。だから竹田さんに断りの連絡を入れてきた』
「灯里ちゃんの実の父親って」
『灯里ちゃんは何も知りませんよ。竹田さんも山中と灯里ちゃんの間に血縁関係がないことは言っていません』
「……」
警察にすべてを話す。そこに灯里の血縁上の父親が含まれているとしたら――
「灯里ちゃんの父親が関わっているの?」
『……わかりません。とりあえず竹田さんのもとには目黒さんが直行してくれるので』
「あんたは?」
『僕は明日も仕事なので。少なくともシャワーして、着替え持って向かいます。夜中でも目黒さんがいれば、開けてくれるでしょうから』
「シャワーくらい借りれば?」
『年頃のお嬢さんがいる家庭ですよ』
「……失礼しました」
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