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だが年頃の娘を持つ父親というのはそういうものかもしれない。それでも帰ってこないのだから、山中は永倉がいることを知らないのだろう。
「多分、優樹菜は何かを知っている。そうでなきゃ、このタイミングでMALIAさんとの写真を上げたりはしませんよね」
「警察への挑戦状ってか?」
「今頃、御園さんがブチ切れてますよ。『あの女、いい気になって喧嘩売りやがって!』とか言って」
かつて御園が切れた場面に出くわしたのだろう。永倉が苦笑する。
「多分、見通しは明るいと思うんですよ」
「それは警察的な意味でか? それとも遺族的な意味でか?」
「警察的な意味ですね」
永倉はドーナツを手にし、半分に分ける。
「優樹菜は警察に対し、知っているということをアピールしてきた。一年前は真利亜を知らないと言っていたのを思えば、犯人に近づく」
「犯人は優樹菜かあるいは別人か」
「どちらでも山中さんが犯人ではないということが、本人に伝わればいいんですが」
「そっちの見通しはつかないか」
残念ながらと言って、永倉は半分にしたドーナツを口に運ぶ。
チョコは絵里奈が取ったらしく、永倉と目黒の前にあるのはどちらもプレーンだ。甘いものがそれほど得意ではない目黒にとってはありがたい。目黒も永倉同様、ドーナツを半分にしたうえで口に運ぶ。さくっという歯ごたえの後、中はしっとりとしている。甘ったるくなく、目黒でも食べやすいドーナツだ。
「おまえがこれを作ったとはねえ」
「お口に合いましたか」
「おう、甘ったるくなくていい」
「チョコの方も割とビターなので、よろしければどうぞ」
暗に買いに来いと匂わせてから、永倉は続ける。
「丸く収まることはないと思いますけど、将来的に見通しがよくなるといいなとは思いますよね」
「それは――」
どう意味だと聞こうとして止める。
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