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「…分かった。ごめん。荷物持って帰る。」
そう言われて、
車を降りて一緒に部屋に向かった。
私の家に泊まることが多かったから
陸の物が少し私の家に置いてあるのだ。
階段を無言で上がる。
鼻をすする音が聞こえる。
……まだ泣くのか。
自分はなんて冷たい人間なんだと思いながらも
少し呆れてしまう。
鍵を開ける。
実は昨日、荷物を全部まとめておいたんだけど
用意周到な感じがなんとなく気まずいなと思った。
まとめた荷物が置いてある、玄関から1番近い部屋に入る。
脱衣所や浴室にあったものを入れた紙袋を見て
「……あ…。」
陸は小さく声を漏らして、
一瞬固まった。
やっぱり、まとめておくべきじゃなかったのかな……と思いつつも、
もう別れたんだしいいか。
「たぶんこれで全部。」
私が言うと
「ありがとう。
何か残ってても、捨てちゃっていいから。」
とだけ言われた。
荷物を持って、そのまま玄関先へ。
「じゃあ。」
「うん。元気でね。」
それだけ交わすと、
陸は振り返らずに車に向かって行った。
いつもは下まで一緒に行って
車が見えなくなるまで見送っていたが
もうそれはしない。
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