悩み

10/62

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
久保田の勢いに穏は反論する。 「いやいやいや! 待って…待って!〝テレビは苦手や。〟って言うたやん……しかもスマイリースの番組って……」 「そんな事を言ってるから、認知度が低いんです! 穏さんはもっとメディア露出するべきなんです」 「そんな気は更々無い 。 それに僕はヴィジュアル系のミュージシャンや。 歌を歌う仕事以外は受けない!」 「我が儘言わないでください。 子供ですか!?」 「音楽界を第一線で走るベテランや。 新人みたいに、何でも引き受けるやり方はしたくない!」 所属タレント(ミュージシャンも含む)とマネージャーの口論は、芸能界では見慣れた光景だが、マネージャーがミュージシャン…それもベテランに対して反論するのは珍しい。 「『APHRODITE』としてはベテランかもしれませんが、『A.D.C』としては、まだ新人です!」 「…うっ!」 確かにそうだ……【APHRODITE】としての活動は、10年以上なるが⎯⎯。 【Acid Dark Cherry】としては3年くらいの、『新人』と、言って良いくらいの活動期間だ⎯⎯。 久保田は、こだわり過ぎる穏の活動を変化させたくて、必死になってしまう。 「それは…そうかもしれへんけど……」 「穏さんはこだわり過ぎる所が有ります。 けど別にそれが『駄目』とは言いません。 ですが、世間があまりに穏さんを知らなすぎるので、もう少し認知度を上げたくて……」
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加