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久保田の勢いに穏は反論する。
「いやいやいや!
待って…待って!〝テレビは苦手や。〟って言うたやん……しかもスマイリースの番組って……」
「そんな事を言ってるから、認知度が低いんです!
穏さんはもっとメディア露出するべきなんです」
「そんな気は更々無い 。
それに僕はヴィジュアル系のミュージシャンや。
歌を歌う仕事以外は受けない!」
「我が儘言わないでください。
子供ですか!?」
「音楽界を第一線で走るベテランや。
新人みたいに、何でも引き受けるやり方はしたくない!」
所属タレント(ミュージシャンも含む)とマネージャーの口論は、芸能界では見慣れた光景だが、マネージャーがミュージシャン…それもベテランに対して反論するのは珍しい。
「『APHRODITE』としてはベテランかもしれませんが、『A.D.C』としては、まだ新人です!」
「…うっ!」
確かにそうだ……【APHRODITE】としての活動は、10年以上なるが⎯⎯。
【Acid Dark Cherry】としては3年くらいの、『新人』と、言って良いくらいの活動期間だ⎯⎯。
久保田は、こだわり過ぎる穏の活動を変化させたくて、必死になってしまう。
「それは…そうかもしれへんけど……」
「穏さんはこだわり過ぎる所が有ります。
けど別にそれが『駄目』とは言いません。
ですが、世間があまりに穏さんを知らなすぎるので、もう少し認知度を上げたくて……」
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