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久保田の気持ちが分かるだけに、穏はふぅ~…と、力を抜いて息を吐く。
「ありがとう葉月ちゃん。
葉月ちゃんの気持ちは良く分かったよ、僕の為に色々考えて動いてくれてたんだね?
キミは優秀なマネージャーだよ」
「穏さん……そんな優しい言葉…嬉しいです。
穏さんが『テレビが苦手』だと言う事は把握しているんですよ?
でも、少しでも、世間の方々に、〝こんな素晴らしい人が居るんですよ。〟って、発信したいんです。
ちょっとだけでも、考えてくれませんか?」
少し考えた穏は、にっこり笑うと、頷いて答える。
「分かった。
返事はいつまでにすれば良いかな?」
穏の言葉に嬉しくなった久保田は笑顔で答える。
「来週末までにお願いいたします。
本当に、CMとかだけでも良いので、考えてみてください!」
「うん、仕事ありがとう…葉月ちゃん」
久保田との話し合いの後、穏は軽く変装する。
薄手のニット帽に大きめの薄紫レンズのサングラスを掛けて、ショルダーバッグを持って事務所を出ると、前で蓮が待っている。
蓮はストライプスタッズハットに、薄茶レンズのサングラスを掛けている。
「あ、蓮くん!」
駆け寄って話し掛けると、蓮は振り返って答える。
「穏さん、話は終わったんですか?」
「うん、待たせてごめん。
行こうか?」
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