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そんな事が行われているとは知らず、2人は寝ていたが、一足先に穏が目を覚ます。
「ん~…あ!!寝てた!?
今どの辺りやろ……」
すると車内アナウンスが流れる。
『次は~◯◯駅~、◯◯駅~。
右側の扉が開きます、ご注意ください』
「はぁ~…良かった。
まだ、ショッピングモールの最寄り駅じゃなかった……」
アナウンスに安心した穏は、蓮を見る。
まだ寝ている様で、アナウンスに気付いてないのか、寝息を立てている。
「まだ寝てる。
駅に着くまでは寝かしとこ」
暇を持て余した穏はスマホでゲームしていると、先程の中年男性が、またパシャパシャと穏を撮ってはSNSにアップする。
「あのオッサン……!」
蓮を起こさない様に立ち上がり、中年男性の所までやって来ると、怒りを含んだ声で話し掛ける。
「オッサン」
「ん?えっ!うわっ!」
スマホから顔を上げた中年男性は穏を見て驚く。
「さっき撮ったやろ?
無断で撮影するの止めてくれる?」
「な、な…何を言っているんだい?
ぼ、ぼ…僕がキミ達を?ななな、何を言っているのやら?」
「ふ~ん……撮って無いって?」
「あ、当たり前だろ!
いくらキミが美人さんだろうと……」
穏に責められ、しどろもどろになるが……。
「じゃあ、スマホ見せてよ?
撮って無いなら見せられるよね?」
黒いネイルに彩られ、雪の様な真っ白い肌に、男性らしいゴツゴツした手を差し出され、中年男性はパシンっ、と振り払う。
「ちょ…調子に乗るなよ!
美人だからって、何をしても許されるなんて⎯⎯」
「オッサン知ってる?
無断で人を撮影するのは犯罪やねんで?」
「しょっ…しょ、証拠でも有るのか!?」
威勢良く言い放つが、大学生くらいの青年が話を聞きつけてやって来る。
「ボク、見てましたよ。
その方とお連れの方を無断で撮影し、SNSにアップしているのを」
「証拠は有るのか!?」
「貴方、【ファインダーグラム】にアップしましたよね?」
【ファインダーグラム】SNSアプリの1つで、動画や画像を投稿する事の出来る、若い世代に人気のアプリだ。
そう言って青年はスマホを操作し、ファインダーグラムを立ち上げ、穏に、中年男性が上げた画像を見せる。
「なっ!?いつの間に!?」
「著作肖像権違反に値いします。
ましてやこの方は芸能人です。
それなりの賠償金を支払う事になりますよ?」
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