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蓮は練習の為､個別の練習場に入り､ベースケースにはピンクの『ハス』のステッカーが貼られていて､ミステリアスでクールな雰囲気の蓮にしては､少し可愛らしい気もするが､ベースを買った楽器店の店主が蓮の名前にちなんで､おまけで貼った物｡
ベースケースを置いて､中から『ハス』のステッカーの着いたベースを取り出して､ストラップを肩に掛けて､ケースを閉じる｡
蓮はベースを弾く時と普段で､補聴器を使い分けていて､普段は耳掛け式の補聴器､ベースを弾く時は耳栓式の補聴器を使っている｡
ベースを弾こうと耳掛け式の補聴器を取り､耳栓式の補聴器を着ける｡
アンプに電源を入れて､コードをベースに繋いで､ピックで弦を弾く｡
近くに有ったパイプ椅子を見付けて座面を倒して座ると脚を組んで座る｡
ヘッドフォンを着けて､弦を弾くとベース特有の低い音｡
蓮の性格を表したかの様な､大人しく優しい音｡
虫の声が聞こえる夜にぴったりな静かな音色｡
周囲を音を殺さずに目立たせる｡
ギターより低くく目立たたないがその魅力に呑み込まれれば､一瞬で虜になる｡
難聴にも関わらず､弾いてきた実力はかなりの努力で手に入れた物｡
ピック無しで弾く事も出来る､かなりの時間と怪我を乗り越えて出来る物｡
ベースを弾く時だけは､難聴を忘れて居られる……｡
音楽だけは､自分らしく居られる……｡
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