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楽屋で寝そべっていた穏だったが、体を起こして髪を掻き上げる。
張り付いた髪を剥がす様に掻き上げ、机に手を付いて立ち上がる。
「気分転換に飲み物、買いに行こう」
財布だけ持って、事務所の地下に在る自販機に向かおうと楽屋を出て廊下を歩く。
しばらく廊下を歩いて行くと⎯⎯。
蓮がベースの練習をしてる練習場の前を通り過ぎ様とした時、視界に蓮が映る。
「ん?あ、蓮くん」
集中しているのか、穏が入って来ても気付かない。
ゆっくり近付いて、目の前にしゃがみ込み、腕を組んで膝に乗せて、顎を乗せる。
「良いなぁ、蓮くんのベース♪」
うっとりと聴き入っていると⎯⎯。
「えっ!?や、や…穏さんっ!?」
穏が居る事に気付いた蓮は思わず手を止め、ヘッドフォンを外して首に掛ける。
「あ、ごめん。
あまりに集中してるみたいやったから、声を掛けそびれた」
〝掛けそびれた。〟なんて言っているが、練習の邪魔をしたくないと考えて、蓮が気付くまでは、y穏からは声を掛けない。
「すみません…気を遣わせてしまって」
穏の気遣いを理解している蓮は、申し訳なく思い謝罪する。
「そんな事無いよ。
なぁ、蓮くん…この後時間有る?
僕の用事に付き合ってくれないかな?」
「えっ……特に無い、ですが…用事って?」
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