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「買い物。
ちょっと、買いたい物が有ってなぁ」
そう答えて立ち上がり、蓮の肩に手を置く。
「たまには、気分転換に、どう?」
『気分転換』は、穏の方では?
⎯⎯なんて、口に出せる筈もなく、蓮はキョトンと、目を丸くするが頷く。
「良い、ですよ」
「本当に!?ありがとう蓮くん」
そう答えると穏は抱き着いて、礼を言う。
「それじゃ、後で」
そう言って離れると、手を振って練習場を出て行く穏を茫然と見送る。
「何だか、いつもの穏さんじゃないみたい……何が遭ったんだろう……?」
アンプの電源を切り、コードを抜いて元の場所に戻して、ベースをケースに戻した。
補聴器も耳栓式から耳掛け式に着け直すと、ケースのストラップを肩に掛け、荷物と練習場の鍵を持って出て行く。
受け付けに鍵を返して、穏の楽屋に行こうとした時、かつて同じ、【白銀の王冠】メンバーで、サブリーダー兼ドラムスだった聖が通り掛かる。
「あ、蓮」
「聖……」
聖
本名:水澤 聖
身長:175㎝の細身で、ウェーブが掛かった青色混じりの黒いセミロングの髪を後ろで1つに纏め、赤紫の瞳に両耳にピアスとバングルのチョーカー、ライダージャケットとダメージジーンズにスニーカーを履いており、プラチナのラインストーンで作れたクラウンのネックレスを着けている男性で、白銀の王冠のサブリーダーでドラム担当で、メンバーの兄貴的存在。
「久し振り」
白銀の王冠が解散してから、同じ事務所に居ながら、会う事は減っている。
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