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「日頃のお世話の恩返しをしなきゃ」
ニコッと笑い、蓮の肩に手を置く。
「確かに穏さんはベテランで大人で、リーダーだ。
けど、だからこそ、『誰かに甘える』のは難しいんだよ。
ましてやあの人は明るく振る舞うところが有るから、弱味なんて……分かりづらいのかもしれない。
でも、蓮は気付いたんでしょ?
人の痛みや苦しみ、弱味を感じ取れる。
それは、蓮が誰よりも悩まされてきたからこそ…分かる事なんだ。
だから蓮……穏さんを助けてあげて」
「……うん…ありがとう、聖」
聖と話した後、穏の居る楽屋へとやって来た蓮は、声を掛けて中に入る。
「あ、蓮くん。どうしたん?」
いつもの様に、明るく振る舞う穏。
何も変わりが無い様に見える……。
「穏さん、聖から聞きました」
真剣な表情で話し掛けると、変わらない笑顔で誤魔化す。
「へぇ~、聖くんかぁ。
久し振りなんちゃう?
で、聖くんがどうしたん?」
「聖、見たんです。
穏さんが上層部から出て来る所……」
「あ、あ……あぁ!
企画書持って行ったからなぁ。
それがどうしたん?」
「落ち込んでた……って……」
「そりゃ、企画が通らない事も有る。
何ら不思議でもないやろ?」
「上層部の方々に、何言われたんですか?
企画が通らない事もあります。
それだけなら、何ら不思議でもありません……ですが、普段なら、『誰かが練習している場所に入る事』はしませんよね?穏さんは。
だけど今日は入って来た。何が遭ったんですか?」
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